top of page
赤尾宣彦

【労務】新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)を更新-感染者の職場復帰や労災補償などについて-

厚生労働省では、「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」を公表していますが、こちらが更新されています。更新されたのは、感染した労働者が職場復帰する際の注意点、感染症の対策のためイベントの中止や学校の休業、事業活動の閉鎖や縮小などの影響を受ける労働時間の取り扱いについて、医師からの証明がなくても休業補償給付の請求が可能かどうか、の3つのQ&Aです。


●1-問2

新型コロナウイルス感染症に感染した労働者が職場復帰する際にどのような点に留意すればよいでしょうか?


新型コロナウイルス感染症の回復経緯や心身の負担には個人差があることから、療養終了後に職場復帰する場合の対応に当たっては、業務によって症状を悪化させること等がないよう、主治医等の意見を踏まえた本人の申出に基づき、産業医や産業保健スタッフとも連携し、勤務時間の短縮やテレワークの活用など、労働者の負担軽減に配慮した無理のないものとすることが望ましいです。


長引く症状(罹患後症状(いわゆる後遺症))については、いまだ明らかになっていないことも多いですが、これまでの国内外の研究によると、新型コロナウイルス感染症にかかった後、多くの人は良くなりますが、治療や療養が終わっても一部の症状が長引く人がいることが分かってきております。

これまでの国内の研究結果の詳細は以下にてご確認できます。


厚生労働科学特別研究事業「COVID-19後遺障害に関する実態調査」

「第39回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料(2021/6/16)」


「第86回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料(2022/6/1)」


また、新型コロナウイルス感染症の罹患後症状に関する診療のアプローチ ・ フォローアップ方法などの医学的な知見については、「新型コロナウイルス感染症COVID-19診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント」に記載しております。


●5―問1

新型コロナウイルス感染症の対策のため、イベントの中止や学校の休業、事業活動の閉鎖や縮小などの影響を受けて、労働時間が減少してしまうことや、休む従業員が増えたときに残りの従業員が多く働かないとならない事態が考えられます。その人達について、労働基準法の労働時間の上限を超えないようにするため、変形労働時間制を導入したり、変更したりするにはどうしたらよいでしょうか?


労働基準法第32条の4においては、労使協定において、1年以内の変形期間を平均して1週間あたりの労働時間が40時間を超えない範囲内で、1週に1回の休日が確保される等の条件を満たした上で、労働日及び労働時間を具体的に特定した場合、特定の週及び日に1日8時間・1週40時間の法定労働時間を超えて労働させることができるとされています。


今般の新型コロナウイルス感染症に関連して、人手不足のために労働時間が長くなる場合や、事業活動を縮小したために労働時間が短くなる場合については、1年単位の変形労働時間制を導入することが考えられます。


また、今回の新型コロナウイルス感染症対策により、1年単位の変形労働時間制を既に採用している事業場において、当初の予定どおりに1年単位の変形労働時間制を実施することが困難となる場合も想定されます。


1年単位の変形労働時間制は、対象期間中の業務の繁閑に計画的に対応するために対象期間を単位として適用されるものであるので、労使の合意によって対象期間の途中でその適用を中止することはできないと解されています。


しかしながら、今回の新型コロナウイルス感染症への対策による影響にかんがみれば、当初の予定どおりに1年単位の変形労働時間制を実施することが企業の経営上著しく不適当と認められる場合には、特例的に労使でよく話し合った上で、1年単位の変形労働時間制の労使協定について、労使で合意解約をしたり、あるいは協定中の破棄条項に従って解約し、改めて協定し直すことも可能と考えられます。


ただし、この場合であっても、解約までの期間を平均し、1週40時間を超えて労働させた時間について割増賃金を支払うなど協定の解約が労働者にとって不利になることのないよう留意が必要です。


1年単位の変形労働時間制の詳細については、こちらをご覧下さい。


●7-問8

PCR検査や抗原検査で陽性でしたが、医療機関へ受診せずに、行政が設置し医師を配置する健康フォローアップセンター等に連絡し、自宅(ホテル)において療養を行いました。当該療養期間について、医師からの証明がなくても休業補償給付の請求はできますか?


当該療養期間について、医療機関や保健所の負担軽減を図るため、医療機関や保健所の証明書によらず、PCR検査や抗原検査からの陽性結果通知書やMy HER-SYS(※)により電磁的に発行された証明書等を自宅療養したことが客観的に推定できる書類として休業補償給付請求書に添付した上、請求してください。


(※)厚生労働省が運用している「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)」の健康管理機能であり、陽性者ご本人等がスマートフォンやパソコン等で自身や家族の健康状態を入力できる。



詳しくは、こちらをご覧ください。



参照ホームページ[厚生労働省]

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html

閲覧数:1回0件のコメント

最新記事

すべて表示

【労務】短時間労働者に対する適用拡大に係る事務の取扱いに関するQ&A集-令和6年10月施行分を公表

厚生労働省から、保険局の新たな通知を発表しました。この通知は、「短時間労働者に対する適用拡大に係る事務の取扱いに関するQ&A集(その3)」に関するもので、令和6年10月1日からの適用拡大に対応しています。 以前、令和4年9月28日に発表された事務連絡「短時間労働者に対する健...

Comments


bottom of page